Cover image of Japanese Classical Literature Audiobooks
(69)
Arts
Books

Japanese Classical Literature Audiobooks

Updated 7 days ago

Arts
Books
Read more

An invitation to Japanese literature.

Read more

An invitation to Japanese literature.

iTunes Ratings

69 Ratings
Average Ratings
51
9
4
3
2

Soothing 😃

By Aquatackgirl - Mar 06 2014
Read more
This podcast is really soothing to listen to when going to sleep. I really like it!

I don't speak much Japanese, but...

By tsiprah - May 06 2010
Read more
The speaker's voice is so calm; listening to her is very relaxing.

iTunes Ratings

69 Ratings
Average Ratings
51
9
4
3
2

Soothing 😃

By Aquatackgirl - Mar 06 2014
Read more
This podcast is really soothing to listen to when going to sleep. I really like it!

I don't speak much Japanese, but...

By tsiprah - May 06 2010
Read more
The speaker's voice is so calm; listening to her is very relaxing.
Cover image of Japanese Classical Literature Audiobooks

Japanese Classical Literature Audiobooks

Latest release on Jan 22, 2020

Read more

An invitation to Japanese literature.

Rank #1: Ten Nights of Dreams by NATSUME Soseki – The First Night

Podcast cover
Read more
夢十夜
第一夜

こんな夢を見た。
腕組をして枕元に坐っていると、仰向に寝た女が、静かな声でもう死にますと云う。……

e-text at Aozora Bunko: (http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/799_14972.html)

Jan 20 2019

Play

Rank #2: Essays in Idleness No.071

Podcast cover
Read more
徒然草

第七一段 名を聞くより、やがて面影はおしはからるる心地するを、見る時は、又かねて思ひつるままの顔したる人こそなけれ。…

Jan 20 2019

Play

Rank #3: A Picture by Shiki by Soseki (子規の画 夏目漱石)

Podcast cover
Read more
Many thanks for the Text : Aozora Bunko
Transcript

夏目漱石

子規の画 
 余は子規しきの描いた画えをたった一枚持っている。亡友の記念かたみだと思って長い間それを袋の中に入れてしまっておいた。年数ねんすうの経たつに伴つれて、ある時はまるで袋の所在を忘れて打ち過ぎる事も多かった。近頃ふと思い出して、ああしておいては転宅の際などにどこへ散逸するかも知れないから、今のうちに表具屋へやって懸物かけものにでも仕立てさせようと云う気が起った。渋紙の袋を引き出して塵ちりを払はたいて中を検しらべると、画は元のまま湿しめっぽく四折よつおりに畳んであった。画のほかに、無いと思った子規の手紙も幾通か出て来た。余はその中うちから子規が余に宛あてて寄こした最後のものと、それから年月の分らない短いものとを選び出して、その中間に例の画を挟はさんで、三つを一纏ひとまとめに表装させた。
 画は一輪花瓶いちりんざしに挿さした東菊あずまぎくで、図柄ずがらとしては極きわめて単簡たんかんな者である。傍わきに「是これは萎しぼみ掛かけた所と思い玉え。下手まずいのは病気の所為せいだと思い玉え。嘘うそだと思わば肱ひじを突いて描いて見玉え」という註釈が加えてあるところをもって見ると、自分でもそう旨うまいとは考えていなかったのだろう。子規がこの画を描いた時は、余はもう東京にはいなかった。彼はこの画に、東菊活いけて置きけり火の国に住みける君の帰り来るがねと云う一首の歌を添えて、熊本まで送って来たのである。
 壁に懸かけて眺めて見るといかにも淋さびしい感じがする。色は花と茎と葉と硝子ガラスの瓶びんとを合せてわずかに三色みいろしか使ってない。花は開いたのが一輪に蕾つぼみが二つだけである。葉の数を勘定かんじょうして見たら、すべてでやっと九枚あった。それに周囲が白いのと、表装の絹地が寒い藍あいなので、どう眺めても冷たい心持が襲って来てならない。
 子規はこの簡単な草花を描くために、非常な努力を惜しまなかったように見える。わずか三茎みくきの花に、少くとも五六時間の手間てまをかけて、どこからどこまで丹念に塗り上げている。これほどの骨折は、ただに病中の根気仕事としてよほどの決心を要するのみならず、いかにも無雑作むぞうさに俳句や歌を作り上げる彼の性情から云っても、明かな矛盾である。思うに画と云う事に初心しょしんな彼は当時絵画における写生の必要を不折ふせつなどから聞いて、それを一草一花の上にも実行しようと企くわだてながら、彼が俳句の上ですでに悟入した同一方法を、この方面に向って適用する事を忘れたか、または適用する腕がなかったのであろう。
 東菊によって代表された子規の画は、拙まずくてかつ真面目まじめである。才を呵かして直ちに章をなす彼の文筆が、絵の具皿に浸ひたると同時に、たちまち堅くなって、穂先の運行がねっとり竦すくんでしまったのかと思うと、余は微笑を禁じ得ないのである。虚子きょしが来てこの幅ふくを見た時、正岡の絵は旨いじゃありませんかと云ったことがある。余はその時、だってあれだけの単純な平凡な特色を出すのに、あのくらい時間と労力を費さなければならなかったかと思うと、何だか正岡の頭と手が、いらざる働きを余儀なくされた観があるところに、隠し切れない拙せつが溢あふれていると思うと答えた。馬鹿律義ばかりちぎなものに厭味いやみも利きいた風もありようはない。そこに重厚な好所こうしょがあるとすれば、子規の画はまさに働きのない愚直ものの旨さである。けれども一線一画の瞬間作用で、優に始末をつけられべき特長を、とっさに弁ずる手際てぎわがないために、やむをえず省略の捷径しょうけいを棄すてて、几帳面きちょうめんな塗抹とまつ主義を根気に実行したとすれば、拙の一字はどうしても免まぬかれがたい。
 子規は人間として、また文学者として、最も「拙」の欠乏した男であった。永年えいねん彼と交際をしたどの月にも、どの日にも、余はいまだかつて彼の拙を笑い得るの機会を捉とらえ得えた試ためしがない。また彼の拙に惚ほれ込んだ瞬間の場合さえもたなかった。彼の歿後ほとんど十年になろうとする今日こんにち、彼のわざわざ余のために描いた一輪の東菊の中うちに、確たしかにこの一拙字を認める事のできたのは、その結果が余をして失笑せしむると、感服せしむるとに論なく、余にとっては多大の興味がある。ただ画がいかにも淋しい。でき得るならば、子規にこの拙な所をもう少し雄大に発揮させて、淋しさの償つぐないとしたかった。

Jan 20 2019

Play

Rank #4: [28] Things that make you feel nostalgic (枕草子 過ぎにし方恋しきもの)

Podcast cover
Read more
過ぎにし方(かた)恋しきもの 枯れたる葵(あふひ)。雛(ひひな)遊びの調度(てうど)。二藍、葡萄染などのさいでの押しへされて、草子の中などにありける、見つけたる。また、をりからあはれなりし人の文、雨など降りつれづれなる日、さがし出でたる。去年(こぞ)の蝙蝠(かはほり)。

Dear subscribers of the audio feed : English version of this recording is available at website. The translation is from The Pillow Book (Penguin Classics) by Meredith McKinney

Not in the public domain.

Jan 20 2019

Play

Rank #5: Kokin Wakasyu - Spring 01-10

Podcast cover
Read more
古今和歌集 
巻第一 春歌 上
ふる年に春立ちける日よめる 在原元方 …
More to come at my private club with Patreon.

Jun 28 2019

Play

Rank #6: Essays in Idleness No.191 In Praise of Nights

Podcast cover
Read more
第百九十一段

「夜に入りて、物の映え、なし」と言ふ人、いと口惜し。…

Jun 16 2019

Play

Rank #7: Intermission : Charles Bukowski's Los Angeles For Li Po

Podcast cover
Read more
From the Japanese translation of Portions from a Wine-Stained Notebook by Charles Bukowski

ワインの染みがついたノートからの断片 -未収録+未公開作品集
チャールズ・ブコウスキー (著), 中川五郎 (翻訳) より

Jan 20 2019

Play

Rank #8: Kokin Wakashu - Kanajo 1/4

Podcast cover
Read more
やまとうたは、人の心を種として、万の言の葉とぞなれりける。…

The complete Kanajo is exclusively available for my patrons of the secret podcast...
(仮名序の全文は、ご支援くださるパトロンの皆様に限定公開しています。)

Jun 28 2019

Play

Rank #9: The Complete Haiku by Ryōkan, the Zen monk (21-40) /107

Podcast cover
Read more
transcript

同じくば花の下にて一とよ寝む
須磨寺の昔を問へば山桜
この宮や辛夷の花に散る桜
散桜残る桜も散る桜
誰れ聞けと真菰が原のぎやぎやし
真昼中真菰が原のぎやぎやし
人の皆ねぶたき時のぎやうぎやうし
かきつばた我れこの亭に酔ひにけり
真昼中ほろりほろりと芥子の花
鍋磨く音にまぎるる雨蛙

夏の夜やのみを数へて明かしけり
風鈴や竹を去事三四尺
涼しさを忘れまひぞや今年竹
鳰の巣のところがへする五月雨
さわぐ子の捕る知恵はなし初ほたる
青嵐吸物は白牡丹
凌霄花に小鳥のとまる門垣に
酔臥の宿はここか蓮の花
わが宿へ連れて行きたし蓮に鳥
雷をおそれぬ者はおろかなり

Jan 20 2019

Play

Rank #10: Ten Nights of Dreams by NATSUME Soseki – The Second Night

Podcast cover
Read more
第二夜

こんな夢を見た。  
和尚の室を退がって、廊下伝いに自分の部屋へ帰ると行灯がぼんやり点っている。片膝を座蒲団の上に突いて、灯心をかき立てたとき、花のような丁子がぱたりと朱塗の台に落ちた。同時に部屋がぱっと明かるくなった。……

Jan 20 2019

Play

From Amiel's Journal - Feb 8th,1871

Podcast cover
Read more
Text: 『アミエルの日記』河野与一訳 岩波文庫 より- Amazon JP

1871年2月8日
 ゲーテとシュライエルマヘル、現在の調和と理解の追求、これがわたしの動揺している二つの極である。…

More recordings with PDF text are available for the members of my private club at Patreon (monthly subscription at a price of a cup of coffee).

Regarding Amiel'd journal, I found some entries are too controversial. So, I’m keeping it on my private club...
Thank you.

Japanese to follow 

会員制(月額約コーヒー1杯分)のPatreonのサイトでは、他にも朗読を公開しています。
アミエルの日記には、ちょっと公開が躊躇われるような内容のものがあります。(そういう内容ほど面白いのですが…)それらは、Patreonでのみ公開します…
宜しくお願いします!

Jan 22 2020

Play

Kokin Wakashu - Winter #314-325

Podcast cover
Read more
Dear Listeners,

Happy New Year !

Complete Winter waka is available for the members of my private club at Patreon !
Yoroshiku onegai shimasu.

Happy reading,
Kasumi

皆さま、
明けましておめでとうございます!

わたしの会員制クラブ(有料)では、冬の歌全てと、PDFテキストを公開します。
古今和歌集の完読プロジェクトが進行中です。
本年も、どうぞ宜しくお願いします。

かすみ

Jan 13 2020

Play

Kokin Wakasyu - Autumn #169-179

Podcast cover
Read more
Complete autumn waka is available for the members of my private club at Patreon !
わたしの会員制クラブでは、朗読・古今和歌集を随時アップしています。宜しくお願いします。

Dec 15 2019

Play

Montage of Celadon by Torahiko TERADA

Podcast cover
Read more
青磁のモンタージュ 寺田寅彦

「黒色のほがらかさ」ともいうものの象徴が黒楽の陶器だとすると、「緑色の憂愁」のシンボルはさしむき青磁であろう。…

Text at Aozora bunko
(https://www.aozora.gr.jp/cards/000042/files/2463_11122.html)

Sep 14 2019

Play

Announcement : Invitation to my private club at Patreon !

Podcast cover
Read more
Transcript:Hello, thank you for listening Japanese Classical Literature (podcast). I'm Kasumi Kobayashi. This is an announcement to let you know that I created a fan subscription site with Patreon.Patreon is a platform where creators can post exclusive contents to supporters.I would like you to join my private club to listen to exclusive episodes.Subscription fee is about the cost of a cup of tea a month.
Please visit: https://www.patreon.com/kasumikobayashiOr, a link in this post.Thank you.

Jul 04 2019

Play

Kokin Wakasyu - Spring 01-10

Podcast cover
Read more
古今和歌集 
巻第一 春歌 上
ふる年に春立ちける日よめる 在原元方 …
More to come at my private club with Patreon.

Jun 28 2019

Play

Kokin Wakashu - Kanajo 1/4

Podcast cover
Read more
やまとうたは、人の心を種として、万の言の葉とぞなれりける。…

The complete Kanajo is exclusively available for my patrons of the secret podcast...
(仮名序の全文は、ご支援くださるパトロンの皆様に限定公開しています。)

Jun 28 2019

Play

Essays in Idleness No.139 The trees I should like for my house...

Podcast cover
Read more
第百三十九段

家にありたき木は、松・櫻。松は五葉もよし。花は一重なるよし。…

Jun 21 2019

Play

Essays in Idleness No.191 In Praise of Nights

Podcast cover
Read more
第百九十一段

「夜に入りて、物の映え、なし」と言ふ人、いと口惜し。…

Jun 16 2019

Play

Ten Nights of Dreams by NATSUME Soseki – The Second Night

Podcast cover
Read more
第二夜

こんな夢を見た。  
和尚の室を退がって、廊下伝いに自分の部屋へ帰ると行灯がぼんやり点っている。片膝を座蒲団の上に突いて、灯心をかき立てたとき、花のような丁子がぱたりと朱塗の台に落ちた。同時に部屋がぱっと明かるくなった。……

Jan 20 2019

Play

The Complete Haiku by Ryōkan, the Zen monk (01-20) /107

Podcast cover
Read more
transcript

のっぺりと師走も知らず今朝の春
よそはでも顔は白いぞ嫁が君
春雨や門松の〆ゆるみけり
春雨や静になづる破れふくべ
春雨や友を訪ぬる想ひあり
水の面にあや織りみだる春の雨
いでわれも今日はまぢらむ春の山
新池や蛙とびこむ音もなし
夢覚めて聞けば蛙の遠音哉
山里は蛙の声となりにけり

今日来ずば明日は散りなむ梅の花
青みたるなかに辛夷の花ざかり
雪しろのかかる芝生のつくづくし
雪しろの寄する古野のつくづくし
雪汁や古野にかかるづくづくし
鶯に夢さまされし朝げかな
鶯や百人ながら気がつかず
梅が香の朝日に匂へ夕桜
世の中は桜の花になりにけり
山は花酒屋酒屋の杉ばやし

Jan 20 2019

Play

[28] Things that make you feel nostalgic (枕草子 過ぎにし方恋しきもの)

Podcast cover
Read more
過ぎにし方(かた)恋しきもの 枯れたる葵(あふひ)。雛(ひひな)遊びの調度(てうど)。二藍、葡萄染などのさいでの押しへされて、草子の中などにありける、見つけたる。また、をりからあはれなりし人の文、雨など降りつれづれなる日、さがし出でたる。去年(こぞ)の蝙蝠(かはほり)。

Dear subscribers of the audio feed : English version of this recording is available at website. The translation is from The Pillow Book (Penguin Classics) by Meredith McKinney

Not in the public domain.

Jan 20 2019

Play

Essays in Idleness No.071

Podcast cover
Read more
徒然草

第七一段 名を聞くより、やがて面影はおしはからるる心地するを、見る時は、又かねて思ひつるままの顔したる人こそなけれ。…

Jan 20 2019

Play

The Complete Haiku by Ryōkan, the Zen monk (21-40) /107

Podcast cover
Read more
transcript

同じくば花の下にて一とよ寝む
須磨寺の昔を問へば山桜
この宮や辛夷の花に散る桜
散桜残る桜も散る桜
誰れ聞けと真菰が原のぎやぎやし
真昼中真菰が原のぎやぎやし
人の皆ねぶたき時のぎやうぎやうし
かきつばた我れこの亭に酔ひにけり
真昼中ほろりほろりと芥子の花
鍋磨く音にまぎるる雨蛙

夏の夜やのみを数へて明かしけり
風鈴や竹を去事三四尺
涼しさを忘れまひぞや今年竹
鳰の巣のところがへする五月雨
さわぐ子の捕る知恵はなし初ほたる
青嵐吸物は白牡丹
凌霄花に小鳥のとまる門垣に
酔臥の宿はここか蓮の花
わが宿へ連れて行きたし蓮に鳥
雷をおそれぬ者はおろかなり

Jan 20 2019

Play

Ogura Hyakunin Isshu 91-100 (小倉百人一首)

Podcast cover
Read more

Jan 20 2019

Play

Ten Nights of Dreams by NATSUME Soseki – The First Night

Podcast cover
Read more
夢十夜
第一夜

こんな夢を見た。
腕組をして枕元に坐っていると、仰向に寝た女が、静かな声でもう死にますと云う。……

e-text at Aozora Bunko: (http://www.aozora.gr.jp/cards/000148/files/799_14972.html)

Jan 20 2019

Play

Ten Nights of Dreams by NATSUME Soseki – The Third Night

Podcast cover
Read more
第三夜

こんな夢を見た。  
六つになる子供を負ってる。たしかに自分の子である。ただ不思議な事にはいつの間にか眼が潰れて、青坊主になっている。自分が御前の眼はいつ潰れたのかいと聞くと、なに昔からさと答えた。声は子供の声に相違ないが、言葉つきはまるで大人である。しかも対等だ。……

Jan 20 2019

Play

Homage to Soseki's dreams - The Eleventh Night

Podcast cover
Read more
第十一夜     漱石の夢へのオマージュとして

こんな夢を見た。巴里の街を歩いていると、大きな教会の門前らしき場所に出た。門の向こうを見やると、まるで参道のように色々の店が道の両側に並んでいる。どうやら賑やかである。そうだ、お土産になるようなものが見つかるかもしれない、そう思って門をくぐり、ずんずん歩いた。左右に首を振りながら、忙しく店々を物色しながら歩いた。そのうちに、歩いても歩いても、教会の建物に辿り着かないので、不安になってきた。いま、自分はどのあたりにいるのだろう。懐からiPhoneを取り出して、地図で自分の場所を確認する。すると、自分は人工の迷路の一角に立っていることが分かった。随分、入り口の門から離れた場所まで歩いて来ている。人気もすっかりなくなっている。迷路は全体に長方形をしていて、自分は入り口から次の門までの三分の二の距離まで来ているらしかった。くぐった時には分からなかったが、門の作りは複雑になっていて、俯瞰すると鬼のような怪物のような顔になっているのだった。せっかくここまできたのに、引き返して教会に入れないのは残念だと思い、自分の歩く先の地図を、地図の画面をスクロールさせて確認してみた。すると、地図は途中からだんだん暗くなっていて、その先は真っ暗になっていた。ぞっとした。このまま進んだら、この地図の示す真っ暗な、得体の知れない場所に着いてしまう。思えば、参道の店には売り子はいたが、客はいなかった。全てが私をこの先の真っ暗な場所に誘いこむための仕掛けだったのだ。そう気付いたとたん、血の気が引いた。いつの間にか辺りは薄暗い。私は踵を返して、もと来た道を戻り始めた。数分の間、随分長く感じられる間、とぼとぼと自分の不用心さにうんざりしながら歩いたところで、亡霊のような影が自分の周りに居ることに気がついた。自分とは反対方向に漂いながらゆらゆらと進んでいる。恐怖に一瞬凍りついた。彼らに私の事を気づかれてはならない。何より、私が彼らとは「違う」事に気づかれてはならない。私は音をたてないように歩いた。彼らを静かに避けながら、しかしできるだけ早く、出口に辿り着かなければならない。だんだん周りに亡霊たちが増えてくる。避けるのが難しくなってきた。息が上がってきた。心臓は限界まで鼓動を早めた。出口はまだか。携帯の電池がなくなる。地図が消える。自分の居場所が分からない。息が止まる。一体、どこにいるのだろう?…亡霊の輪郭が消えてきたのか、闇が濃くなってきたのか、周りに何があるのかが分からなくなってくる。と同時に世界の輪郭も消えてゆく。暗転の間に、自分は目覚めの前の最後の息を吐いていた。
by Kasumi Kobayashi

Jan 20 2019

Play

A Picture by Shiki by Soseki (子規の画 夏目漱石)

Podcast cover
Read more
Many thanks for the Text : Aozora Bunko
Transcript

夏目漱石

子規の画 
 余は子規しきの描いた画えをたった一枚持っている。亡友の記念かたみだと思って長い間それを袋の中に入れてしまっておいた。年数ねんすうの経たつに伴つれて、ある時はまるで袋の所在を忘れて打ち過ぎる事も多かった。近頃ふと思い出して、ああしておいては転宅の際などにどこへ散逸するかも知れないから、今のうちに表具屋へやって懸物かけものにでも仕立てさせようと云う気が起った。渋紙の袋を引き出して塵ちりを払はたいて中を検しらべると、画は元のまま湿しめっぽく四折よつおりに畳んであった。画のほかに、無いと思った子規の手紙も幾通か出て来た。余はその中うちから子規が余に宛あてて寄こした最後のものと、それから年月の分らない短いものとを選び出して、その中間に例の画を挟はさんで、三つを一纏ひとまとめに表装させた。
 画は一輪花瓶いちりんざしに挿さした東菊あずまぎくで、図柄ずがらとしては極きわめて単簡たんかんな者である。傍わきに「是これは萎しぼみ掛かけた所と思い玉え。下手まずいのは病気の所為せいだと思い玉え。嘘うそだと思わば肱ひじを突いて描いて見玉え」という註釈が加えてあるところをもって見ると、自分でもそう旨うまいとは考えていなかったのだろう。子規がこの画を描いた時は、余はもう東京にはいなかった。彼はこの画に、東菊活いけて置きけり火の国に住みける君の帰り来るがねと云う一首の歌を添えて、熊本まで送って来たのである。
 壁に懸かけて眺めて見るといかにも淋さびしい感じがする。色は花と茎と葉と硝子ガラスの瓶びんとを合せてわずかに三色みいろしか使ってない。花は開いたのが一輪に蕾つぼみが二つだけである。葉の数を勘定かんじょうして見たら、すべてでやっと九枚あった。それに周囲が白いのと、表装の絹地が寒い藍あいなので、どう眺めても冷たい心持が襲って来てならない。
 子規はこの簡単な草花を描くために、非常な努力を惜しまなかったように見える。わずか三茎みくきの花に、少くとも五六時間の手間てまをかけて、どこからどこまで丹念に塗り上げている。これほどの骨折は、ただに病中の根気仕事としてよほどの決心を要するのみならず、いかにも無雑作むぞうさに俳句や歌を作り上げる彼の性情から云っても、明かな矛盾である。思うに画と云う事に初心しょしんな彼は当時絵画における写生の必要を不折ふせつなどから聞いて、それを一草一花の上にも実行しようと企くわだてながら、彼が俳句の上ですでに悟入した同一方法を、この方面に向って適用する事を忘れたか、または適用する腕がなかったのであろう。
 東菊によって代表された子規の画は、拙まずくてかつ真面目まじめである。才を呵かして直ちに章をなす彼の文筆が、絵の具皿に浸ひたると同時に、たちまち堅くなって、穂先の運行がねっとり竦すくんでしまったのかと思うと、余は微笑を禁じ得ないのである。虚子きょしが来てこの幅ふくを見た時、正岡の絵は旨いじゃありませんかと云ったことがある。余はその時、だってあれだけの単純な平凡な特色を出すのに、あのくらい時間と労力を費さなければならなかったかと思うと、何だか正岡の頭と手が、いらざる働きを余儀なくされた観があるところに、隠し切れない拙せつが溢あふれていると思うと答えた。馬鹿律義ばかりちぎなものに厭味いやみも利きいた風もありようはない。そこに重厚な好所こうしょがあるとすれば、子規の画はまさに働きのない愚直ものの旨さである。けれども一線一画の瞬間作用で、優に始末をつけられべき特長を、とっさに弁ずる手際てぎわがないために、やむをえず省略の捷径しょうけいを棄すてて、几帳面きちょうめんな塗抹とまつ主義を根気に実行したとすれば、拙の一字はどうしても免まぬかれがたい。
 子規は人間として、また文学者として、最も「拙」の欠乏した男であった。永年えいねん彼と交際をしたどの月にも、どの日にも、余はいまだかつて彼の拙を笑い得るの機会を捉とらえ得えた試ためしがない。また彼の拙に惚ほれ込んだ瞬間の場合さえもたなかった。彼の歿後ほとんど十年になろうとする今日こんにち、彼のわざわざ余のために描いた一輪の東菊の中うちに、確たしかにこの一拙字を認める事のできたのは、その結果が余をして失笑せしむると、感服せしむるとに論なく、余にとっては多大の興味がある。ただ画がいかにも淋しい。でき得るならば、子規にこの拙な所をもう少し雄大に発揮させて、淋しさの償つぐないとしたかった。

Jan 20 2019

Play

The Diary of Lady Murasaki #01

Podcast cover
Read more
紫式部日記

1 秋のけはひ入りたつままに、土御門殿の有様、いはむかたなくをかし。....

Many thanks to John E. Riutta who encouraged me to post a new recording.

Jan 20 2019

Play

iTunes Ratings

69 Ratings
Average Ratings
51
9
4
3
2

Soothing 😃

By Aquatackgirl - Mar 06 2014
Read more
This podcast is really soothing to listen to when going to sleep. I really like it!

I don't speak much Japanese, but...

By tsiprah - May 06 2010
Read more
The speaker's voice is so calm; listening to her is very relaxing.